東京国立博物館 展示 #6918、#6946 − TOKYO NATIONAL MUSEUM 2023.

先々週は、この年の関東にあって大雪で大荒れの天候だった翌日にあたる、令和5(2023)年の建国記念の日[a]日本の初代天皇である神武天皇の即位日で、旧暦だと紀元前660年1月1日。城攻めしたあとの帰宅途中、時間があったので上野で下車し、昨年6月に続き東京国立博物館へ行って来た。今回も本館で開催されている総合文化展のいくつかを観覧してきた:

  • #6918:本館2階5室・6室の「武士の装い」:2022年11月22日(火)~ 2023年2月12日(日)
  • #6946:本館1階13室の「刀剣」:2023年1月17日(火)~ 2023年4月9日(日)

今回の目的は関白秀吉の甲冑として伝わる「一の谷馬藺兜」の他、石田治部の所用だった刀剣「石田正宗」など。他に、予想外の出品もあってちょっとだけ嬉しかった :)。今回も閉館までずっと観覧した。

しかしながら、休日のトーハクはホント人が多い :|。あと写真撮影可能な展示が多いのは嬉しいのだが、ガラス面への映り込み(例えば非常灯とか)が激しいのは残念な点であるが:(

まず紺糸威南蛮胴具足(重要文化財)。安土桃山時代。徳川家康の四天王の一人、榊原康政が、慶長5(1600)年の関ヶ原の戦い直前に家康から拝領したと伝わる甲冑:

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紺糸威南蛮胴具足(正面)

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(側面)

兜や甲冑は南蛮胴具足がモデル。異国的で目の引く造形となっており、兜の錣《シコロ》の引廻《ヒキマワシ》や後立《ウシロダテ》にはヤクの毛を飾っている[b]これを「唐の頭《カラノカシラ》」とも云う。。個人的に、康政の具足と云うと前立が三鈷剣《サンコケン》の兜を持つ黒糸威二枚胴具足を思い浮かべるけど。

こちらが一の谷馬藺兜《イチノタニ・バリンノ・カブト》。安土桃山〜江戸時代。豊臣秀吉の兜として三河国岡崎藩士の志賀家に伝来したもの[c]志賀家の先祖が豊臣秀吉から賜った兜らしい。

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一の谷馬藺兜

兜鉢は鉄黒漆塗・一の谷形で、後立には馬藺[d]菖蒲の一種の葉を模した檜の薄板を放射状に配している:

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一の谷馬藺兜

今回は秀吉に関連する作品が他にもいくつか展示されていた。こちらは秀吉所用と伝わる陣羽織・淡茶地獅子模様《ウスチャジ・シシ・モヨウ》。安土桃山時代:

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陣羽織・淡茶地獅子模様

刺繍のように絵緯糸《エヌキ・イト》を浮かせた唐織で、大きな獅子模様を織り出している。背中の模様が背縫いをまたいで大きな獅子を表した手間のかかる技法である。衿には舶来の羅紗[e]これは当て字で、ポルトガル語で raxa と綴る。厚手の毛織物を意味する。《ラシャ》があしらわれ、今は欠損しているが、もともとは白い羽毛のぼんぼりが両脇を装飾していた。

こちらは豊臣秀吉像(模本)。原本は安土桃山時代で、江戸時代後期に焼失した:

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豊臣秀吉像(模本)

これは狩野永徳が描いたと伝えられる秀吉城を、仙台藩御用絵師の菊田伊徳が模写したもの。

そして秀吉直筆の書状。安土桃山時代:

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秀吉筆の書状

秀吉が、「ましどの」(不詳)にお茶を一服点ててもてなしたいと送った手紙。なお、都合が悪ければ構わないとも書き添えてある。こうした気遣いは秀吉の人柄が表れている。

こちらは大身槍《オオミノ・ヤリ》。銘・備州長船祐定《オサフネ・スケタダ》。室町時代・永正元(1504)年:

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大身槍・長船祐定

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丁字乱の刃文

この槍の茎《ナカゴ》に『加藤清正息女瑤林院様御入輿之節御持込』の朱銘があることから、加藤肥後守清正の息女・八十姫、のちの瑤林院《ヨウリンイン》が紀州徳川家初代の徳川頼宣《トクガワ・ヨリノブ》に輿入れの際に持参したもので、清正所用として伝えられる。室町時代後期に活躍した備前国・長船派の刀工・祐定の作。70㎝を超える長大な刀身に、丁子乱[f]丁子の実を連ねた形。《チョウジミダレ》の刃文を焼入れてある。

この刀は名物・石田正宗(重要文化財)。鎌倉時代:

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刀(名物・石田正宗)

無銘ながら沸《ニエ》の美を強調した相州伝の作風から正宗の柵とされ、三成が所持したことから「石田正宗」と呼ばれる他に、刀身の棟に刀傷があるので「石田切込正宗」とも。関ヶ原合戦の前年の慶長4(1599)年の清正ら七将による「石田三成襲撃事件」の御成敗で、三成が佐和山城に蟄居となった際に、その道中を警護した結城秀康に贈られた。

同じく、こちらも三成所用の脇指で名物・石田貞宗(重要文化財)。南北朝時代:

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脇指(名物・石田貞宗)

貞宗は、鎌倉時代末期から南北朝時代にかけて活躍した相模国の名工。複雑な変化をみせる板目の地鉄《ジガネ》や、沸の輝きと刃中の働きを強調した刃文は、師の正宗の作風を継承したものと考えられる。「石田貞宗」の銘は、こちらも三成の指料《サシリョウ》であったことに由来する。

この刀は長船勝光・治光の作。室町時代。がっしりとした先反りの刀身に、冴えた直刃調の刃文を焼入れ、腰元の指表《サシオモテ》には倶利伽羅《クリカラ》を、指裏《サシウラ》には梵字が彫られている:

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刀・長船勝光・治光

備前国の長船派の名工・次郎左衛門尉勝光と、その子の次郎兵衛尉治光との合作で、佐々木伊予守こと尼子経久の所持銘が茎にある。

最後は千利休の高弟で、利休七哲の一人である蒲生飛騨守氏郷作の竹茶筅《タケチャシャク》:

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竹茶杓

急角度に曲げた櫂先《カイサキ》が特徴的で、武将らしい力強さを見せている。これほど激しい個性を感じさせる茶筅も珍しいとのこと。

以上、東京国立博物館蔵の作品は「e國寳」や「文化遺産オンライン」(ともに文化庁)のサイトでも閲覧できる ;)

と云うことで、この時のフォト集はこちら:

See Also2023年2月 東京国立博物館 (フォト集)

参照

参照
a 日本の初代天皇である神武天皇の即位日で、旧暦だと紀元前660年1月1日。
b これを「唐の頭《カラノカシラ》」とも云う。
c 志賀家の先祖が豊臣秀吉から賜った兜らしい。
d 菖蒲の一種
e これは当て字で、ポルトガル語で raxa と綴る。厚手の毛織物を意味する。
f 丁子の実を連ねた形。

東京国立博物館 展示 #6918、#6946 − TOKYO NATIONAL MUSEUM 2023.」への2件のフィードバック

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