今となっては一昨々年(さきおととし)は、平成27(2015)年の夏休み明けに広島まで出張があったのに合わせて九州は福岡県にある城攻めと立花宗茂公ゆかりの地を巡ってきた。
午前中の太宰府市は生憎の天候であったが、午後に柳川市へ移動した頃には、すっかり雨は止んでくれてよかった。遺構が殆ど残っていなかった柳川城攻めは正直なところ物足りなかったけど、ほぼ徒歩での行程だったので、午後のエネルギーを補給するため、お昼は行列覚悟で柳川名物の鰻を食べることにした 。
柳川城跡である中学校・高校の立ち入りは不可なので、その周囲をぐるりと一周してから御花(おはな)の前を通り、事前に調べておいた鰻屋がある水路沿いの場所へ向かった。そこには同じように老舗な鰻屋が軒を連ねていて、美味しそうな鰻の匂いが辺りに漂っていた 。
目的地の若松屋は豚一家も完食していた安政年間創業の老舗の鰻屋で、柳川の郷土料理の一つである「鰻の蒸籠(せいろ)蒸し」が食べられる。が、しかしお店の前は予想以上の行列でごった返していて、見たところ1時間くらいは待たなければ入れそうもなかったが、ここまで来て諦めるわけにはいかないので待つことにした :
それでも30分くらい辛抱強く待っていたら、二階にあるテーブル席に案内してもらえた。
席に着くやいなや、待っている時にメニューを見て既に決めていた「上鰻せいろ蒸し」(2,625円/当時)を注文。さらに出てくるまでに時間がかかるとのことで、待っている間はビール(560円/当時)で時間をつぶした。
そして、遂に待つこと15分ほど。出てきたせいろ蒸しが、こちら:
お櫃の蓋をとると、こんな感じ。と、その瞬間に鰻とタレの絶妙な匂いが空腹をさらに刺激する:
「焼きあがった鰻を、甘辛いタレを絡めた御飯の上にのせて蒸籠ごと蒸す」と云う若松屋が代々受け継いだ秘伝のタレと製法で造られた一品。この界隈に軒を並べる20軒を越える鰻屋が腕を競い合っていると云う。
鰻の上の錦糸卵が一際目を引いた:
危うくヤケドしそうなほど熱かったが、味はもちろんのこと、この時期でも脂がのって、湯気が出る鰻は、ハフハフと美味しかった:
ホント、諦めずに行列してよかった 。
若松屋
福岡県柳川市沖端町26番地
ここからはオマケ。
若松屋などの鰻屋が立ち並ぶ目の前に堀があって鴨にお目にかかれた:
そして、今回の城攻めでは時間の都合で乗れなかったけど、傍から眺めているとやっぱり面白そうなお掘りめぐり(川下り):
柳川市内2km四方に総延長60kmにも及ぶ掘割に敷かれた水路を、船頭が漕ぐ「どんこ舟」で巡る:
内堀に相当する水路には、往時に造られた水門が残っており、そこをくぐるのもお堀めぐりの醍醐味のようだ:
「水のまち」柳川市は干拓地における米の栽培も地場産業の一つ。当時は夏真っ盛りで、すくすくと稲が育っていた:
こちらは若松屋で鰻を食べたあとに寄った柳川藩主・立花家別邸の御花(おはな)にある日本庭園の「松濤園(しょうとうえん)」:
大広間に面して設けられた庭園は、黒松に囲まれた華やかな池庭。生憎の空だけれど、やはり落ち着く:
ということで、この時のフォト集はこちら: