一昨年は平成27(2015)年の春に広島出張があって、その週末に島根県は津和野にある城を攻めてきた。そして津和野駅へ向かって帰りの切符を購入しようとしたところ、幸運にも SL「やまぐち」号に乗車できる機会があった 。人生で初めて「動く蒸気機関車」に乗れるということで、かなり感動した記憶が残っている。この時、津和野城の本丸跡(三十間台跡)から高らかな警笛が聞こえていたのが印象的だった。実際に本丸跡から目視でSLやまぐちを眺めることができたし 。
現在のSLやまぐち号はC57形蒸気機関車の1号機で、自分が生まれるず〜っと前の昭和12(1937)年に製造された旅客用の蒸気機関車。それまでのC55形から足回りが近代化されており、四国を除く全国各地の主要線区で活躍し、近代蒸気機関車の傑作機と呼ばれているのだとか:
「貴婦人」の愛称で親しまれるC571(拡大版)
昭和40年代に国鉄は近代化・合理化を推し進め、その結果、全国の蒸気機関車が廃止になった。その中で昭和48(1973)年10月には、ついに山口線からも蒸気機関車が姿を消した。それから6年後にはSL復活の気運が高まり、当時の国鉄総裁の英断で昭和54(1979)年8月1日に山口線でSLが復活した。
復活したC571形は「貴婦人」の愛称で親しまれ、俳人・種田山頭火が愛した新山口を出発し、湯田本線、大内文化の香り漂う山口、四季折々の情緒を楽しめる長門狭、山陰の小京都の津和野を結ぶ合計62.9kmを2時間弱かけて走り続けている。
こちらがJR山口線・津和野駅の駅舎:
津和野駅
そして、これが指定席券(520円)。もちろん他に乗車券が必要になる(自分の場合は宿泊先の広島まで):
指定席券
SLやまぐち号の客車は「レトロ客室」と云う時代別に装飾されており、自分が乗車した4号車は「明治風客車」だった。さすがに客車は選べるほど空いていなかったけど、乗ってしまえば自由に客車を渡り歩くことができるので、あまり気にすることはない。
乗車まで時間があったので、駅に停車中の列車をいろいろ撮ってきた。まずは客車。二号車から五号車がそれぞれ欧風、昭和風、明治風、大正風の装飾になっていた:
レトロムード漂う「レトロ客室」の一つ
レトロ客室の一号車は展望デッキがついていた:
1号車は展望車風客車
新山口から津和野までの62.9kmを走るSLやまぐち号は「快速」扱い:
新山口駅と津和野駅を2時間かけて走る
自分が乗車した4号車はもっとも「レトロ」な文字がお似合いな明治風客車。車内は落ち着いたダークブラウンにまとめられていた:
4号車 「明治風客車」
そして、ここが自分の指定席。あとで向かいの人が乗ってきて、いろいろと談笑しながら2時間ほどの旅を満喫できた:
4号車8番D席
車内の装飾もレトロ感満載だった:
4号車天井のイルミ
壁にかかったレトロなランプ
出発時間となって動き出した時の振動や揺れ、そして車内に立ち込めた煙、トンネルに入る前に鳴る警笛なんかが大人でも堪らなかった:
煙が立ち込めた客室
車内をうろうろする人が少なくなったのを見計らって、他の客室も見て回ったきた。まず客室3号車は昭和風の装飾:
客室3号車
客室2号車はオリエント急行を彷彿させる欧風の装飾。椅子の背が高くて、これは良さそうだった:
客室2号車
客室5号車は大正風の装飾。緑色がなんとも昔の国鉄時代を思い起こさせる :
客室5号車
こちらは車窓から眺めた津和野城跡:
車窓から見えた津和野城跡
津和野から新山口まで、現代の特急(行きに乗ったスーパーおき)だと小一時間ほどの距離を2時間半くらいかけてそれなりのスピードで力強く走っているのを肌で感じ取ることができたし、車窓から外を見ると、自動車に乗った人、畑仕事している人、カメラを持ってSLやまぐちを出向かえてくれた人達が警笛を聞いて手を振ってくれたりした:
最後尾の展望デッキから
そして新山口に到着。再びホームから熱を帯びた機関車を撮ってきた:
新山口にて
「貴婦人」の愛称で親しまれるC571形
昭和12年製、最大出力は1290馬力
あと乗車記念シールとSLやまぐちのカレンダーを貰った。機会あればまた乗りたい 。
ということで、この時のフォト集はこちら:
SLやまぐち乗車 (フォト集)