GNOME 3.6 rc.

来週の公式リリースに向け、3.6 beta に続いて 3.6 rc の tarballs が今日からぼちぼちと upload されている模様。beta 時に作成した My debs パッケージらをさくさくと更新しビルド・インストールしてみる。今の環境がいくぶん不安定な beta なのでビルドの順番にかかわらずどんどんアップグレードしていく予定。
beta 環境とはいえ普通に使えているのだけれど、新機能、特に gnome-shell のスクリーンシャッター (画面のロックに相当) のバグのために、画面のロックを解除できないのは致命的だった (その際は、バックグラウンドから gnome-shell に SIGHUP を発行して対処していた)。
そこで beta からのバグ修正や新機能については都度まとめることにする。
まずは vte-0.34.0 の NEWS をみてみると、端末上に QR コードなんかを描画する際のバグが修正されたとかある:

0.34.0
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* Support escape sequences to set the current directory (#675987)
* Fixed drawing of Box Drawing and Block Elements characters (#682692)
* Introspection fixes (#679805, #681714)
* Build fixes

早速インストールしてみると、tree コマンドでツリーを描画している棒線部分が強調されて表示されていた:
vte-0.34.0-BlockElementChars.png
大分前のバージョンでもこんな描画バグが話題になっていたような気もするが。あと、tmux で画面を分割する線なんかも同様に太くなって分かりやすい。
前回こきおろした Nautilus だけれども特に改善の傾向はみられないようなので、以前、変更したサイドバーのカテゴリを入れ替えるパッチをこのバージョン向けに更新してみた。今回はサイドバーの一番下にネットワークの参照があるので、それをブックマーク一覧の上に移動しただけ:
NautilusChangeSidebarOrder-20120918.png
あと GNOME シェルの拡張機能で、前のバージョンの 3.4 からお気に入りで使っているマウス等のホィールでワークスペースをくるくる切り替えるものがあったのだけれど、新バージョンの 3.6 (実際はバージョン 3.5.91) 向けに公開されているものワークスペースの左端にポインタを移動してホィールを回すタイプであり、お気に入りで使っていた右端に移動させる (i.e. ポインタを動かすことなくほぼ定位置の) タイプではなかったので、ちょっと修正して使っている:

--- extension.js.Left	2012-09-18 23:59:56.086201915 +0900
+++ extension.js	2012-09-16 22:16:57.583671301 +0900
@@ -23,12 +23,12 @@
Scroller.prototype = {
_init: function() {
-		let y = Main.panel.actor.get_height() + Main.panel._leftCorner.actor.get_height()
+		let y = Main.panel.actor.get_height() + Main.panel._rightCorner.actor.get_height()
this.actor = new Clutter.Rectangle({
-			name: 'left-scroller',
+			name: 'right-scroller',
opacity: 0,
reactive: true,
-			'x': 0, 'width' : WIDTH_px,
+			'x': Main.layoutManager.primaryMonitor.width - WIDTH_px , 'width' : WIDTH_px,
'y': y, 'height': Main.layoutManager.primaryMonitor.height - y
})

左端でホィールを回す仕様は、右端でホィールを回すとワークスペースではなく、ブラウザなどのアプリケーションのスクロールバーが反応するからといったのが理由だと思うけど、右端へ移動したポインタは画面の外にでるのでそうそうは衝突することはないかな。
(とりあえず、こんなところまで)

GNOME 3.6 beta 2.

今月は 9/26 にリリース予定の GNOME 3.6 だけれども、そろそろパッケージを作成しつつ、ついこないだアップグレードが完了したばかりの安定版を置き換えていこうということで、いつもと同様に Ubuntu の次期バージョンから K35 やら toolchain やらを含むミドルウェアに順次アップグレードし (起動や一般的な作業に影響のない範囲で) 新しい環境を構築してから、3.5.91 のパッケージをそれぞれビルド・インストールしてみた。
まだまだ完了まではほど遠いものの、なんとか先週末までで GNOME シェルを起動するところまで終わったので、すこしばかり気づいたり気に入らない点 :(などをまとめてみる。公式リリースまで 2weeks ほどしかないので、今の状態からどれだけ改善(?)されるか楽しみではある。
ちなみに今回から GNOME シェルは (前のバージョン 3.4 ではモード化されていた経緯で) GDM のバージョン 3.6 との連携が必須となっており、シェルをインストールする前に GDM の 3.6 相当をインストールしておかないとXを含め全く何も起動できなくなってしまう :$。この辺りまで到達すると流石に古い GNOME シェルはアンインストールする必要があるので、フォールバックモードで compiz を使ったデスクトップ環境上でパッケージを作成・ビルド・インストールした。
まずはそのログイン画面から。GDM が起動するとこんな感じ:
ScreenShot-GDM3.6-01.png
この画面が出るまでにちょっと cool なエフェクトがある。反転しているカーソルを動かしてログインユーザを確定すると:
ScreenShot-GDM3.6-02.png
セッションを選択するなどして、パスワードを入力してログインするのはいつもと同じ。ちなみに、このログイン画面の一部は GNOME シェルなのでカレンダを表示することができ、さらに一定の時間ログインされないと時刻つきのスプラッシュスクリーンが表示される。このスクリーンは所謂 (いわゆる)「シャッター式」なので、ポインタをドラッグして上に押しやるとログイン画面が出てくるという演出つき:
ScreenShot-GDM3.6-03.png
ScreenShot-GDM3.6-04.png
ScreenShot-GDM3.6-05.png
で、ログインすると 3.4 で使っていたアプリを含む、新しいデスクトップが表示される。当然ながら古い 3.4 で使っていたテーマや拡張機能は完全には利用できない。そのあたりはアップグレードする際の留意点でもある。今まで使い慣れたシェルの拡張機能が直ぐに使えるようになるとは限らないので、アップグレードするタイミングを見極めるのは面倒かも。しかしながら既に 3.6 をサポートしたものがあり、ブラウザから e.g.o に接続すれば、このバージョンで利用できるプラグインだけフィルタリングされて表示されるようになっていて便利ではある。
ということでテーマはデフォルトの Adwita:
Screenshot-Desktop-01.png
今まで同様にカレンダも付いているし:
Screenshot-Desktop-02.png
以前は右端にあったエントリが中央に移動したものの検索機能も使える。日本語の入力しづらさは以前よりちょっとだけ改善されている (連続して変換しながら入力できるので):
Screenshot-Desktop-03.png
Screenshot-Desktop-04.png
プリミティブな部分に移してみると、GTK+ は CSS を使ったアクションが多彩になった (今バージョンはそれくらいか?):

ScreenShot-GTK3-CSS-Accordion-01.png ScreenShot-GTK3-CSS-Accordion-02.png

「システムの設定」(gnome-control-center) はあまり大きな変化は無いけれど、それぞれのアイコンが大きめになってユーザビリティが向上している:
Screenshot-GnomeControlCenter3.6-01.png
Screenshot-GnomeControlCenter3.6-02.png
Ubuntu 12.10 から、GConf のブリッジを使用しなくなり (といってもこれ自体がパッチだったのだけれど) GSettings に一本化されたため、compiz などで使用していたワークスペースを上下に移動する際のキーバインディングなど UI からは指定できなくなっている。個人的には非常に不便きまわりない :|
で、今バージョンでホント使えなくなったアプリが「ファイルの一覧」(Nautilus)。これをインストールして最初に起動した時の落胆は表現しがたい :o:
Screenshot-Nautilus3.6.png
タイムスタンプの表記がまともに国際化されていないなどまだまだ完成度が低いものの、サイドペインのツリー表示やコンパクトビュー、ペインの分割といった機能がばっさり無くなってしまって自分としては全く利用価値がないアプリになってしまった (コンパクトビューの機能をドロップしろと報告した人は、コンパクトビューはリストビューを縮小表示すれば同じだとかぬかしていたな。えっ!? これがあっさり採用されるのだから、これまた恐ろしいものだ)。本気で前のバージョンに戻そうか考えている。
次は「ディスク」(gnome-disk-utility)。これは作者が G+ なんかでも自慢していたとおり良くできているし使いやすい:
Screenshot-GnomeDisks3.6.png
次は「インターネット・メッセージ送信ツール」(empathy)。GtkApplication クラスに対応し UI が変わったくらいかな。UOA (Ubuntu Online Accounts) とか使わなそうな機能が付いていたような気もするが:
Screenshot-Empathy3.6.png
GtkApplicationクラスは全く利用価値が分からないな。ショートカットキーも使えないし、ウィンドウにフォーカスを与える際は Sloppy モード (マウスがウィンドウの上に移動したら自動的にフォーカスを与える) を使っているので使い勝手が最悪。
最後に「画面のロック」。これは gnome-screensaver ではなく GNOME シェルの機能 (スクリーン・シールド!?)。GDM のスプラッシュスクリーン同様のエフェクトを持つ。ロックを解除する時は [Esc] キーを押下する。このバージョンでは何回かに一度はクラッシュしてしまうが…:
Screenshot-ScreenLock3.6-01.png
Screenshot-ScreenLock3.6-02.png
といった感じ。その他のアプリは未だインストールしていないし、(この時期にしては) バグも多いので公式リリースがどの程度の完成度になるかは不明だけれど (びっくりするほど) 大きな違いは無いだろうと予想する。
ちなみに自分の環境では、ibus のフレームワーク抜きでビルドしている。
GNOME 3.x になってから、新しい機能ばかり重点がおかれて、今まで慣れ親しんだ機能をばっさり切り落とすようなポリシーが目立ってならない。

gnome-shell-extension-weather.

前のバージョンでリリースされていた拡張機能の一つで、今のバージョンでは別のメンテナにより GitHub で fork された、デスクトップから天気予報や現在の情報を確認できる gnome-shell-extension-weather:
gnome-shell-extension-weather-20120627.png
ja.po を commit してもらった。
このリリースでは設定用にダイアログが提供されている:
gnome-shell-extension-weather-dialog-20120627.png

GNOME 3.4 (TAKE 2).

前回の続き。
今使っている gnome-shell-3.4.1 のデスクトップ:
G32-Desktop-20120608.png
ちなみに解像度は 1920×1200 で画面比 16:10。背景はオーソドックスに gnome-backgrounds の中から選んだ Floorboards。アプリのランチャはずっと Docky。特に不満なし。拡張機能でメニュー・スタイルのランチャー (Applicationss Menu) も追加しているけど、Favorits なアプリはこの Docky から起動している。
今のフォントの設定はこんな感じ:
gtweak-fonts-20120608.png
基本的にドキュメントやメールの類は Serif (明朝体)、それ以外の UI やアプリは Sans-Serif (ゴシック体) にしている。特に理由はないけど商用フォントがメイン。
使っているテーマはこんな感じ:
gtweak-theme-20120608.png
GTK+ のウィジェットとウィンドウの装飾にはグレーを基本にしたテーマ。gnome-shell 用のテーマは外観がデフォルトの Adwaita に似ていて、そのままコンパクトにしたレイアウトになっている。意外と軽量:

このテーマを使った gtk3-widget-factory の出力はこんな感じ:
gtk3-widget-factory-20120608.png
ちなみにユーザ規模でテーマの変更は 3.4 のリリースの場合、拡張機能の User Themes をインストールした後に、専用のスキームもインストールしてコンパイルする必要有り:

$ cd $HOME/.local/share/gnome-shell/extensions/
$ cd ./user-theme@gnome-shell-extensions.gcampax.github.com/schemas/
$ ls
org.gnome.shell.extensions.user-theme.gschema.xml
$ sudo install -c -m644 \
./org.gnome.shell.extensions.user-theme.gschema.xml \
/usr/share/glib-2.0/schemas/
$ sudo glib-compile-schemas /usr/share/glib-2.0/schemas

利用している拡張機能の一覧:
gtweak-extensions-20120608.png
その中からいくつかピックアップしてみると、まずアクティビティ・モードに組み込まれた拡張機能の一覧から ON/OFF を切り替えたり、アップデートの通知を確認できる (Extension List):
GnomeShell-ExtensionsList-20120608.png
電卓 (gcalctool) を呼び出して数値計算する (Advanced Calculator):
GnomeShell-AdvancedCalculator-20120608.png
他にも、3.4 になってしばらく更新されていなかったものの今回のリリース向けに最近公開された、右端にポインタを移動してホィールマウスを使ってワークスペースをきりかえる (Desktop Scroller (Original)) とか、アニメーションの速度を調整する (Impatience) には gnome-shell-extensions-pref というツールから:
GnomeShell-Impatience-20120608.png
あと、tracker を使ったデスクトップ検索もいい感じなんだけど、この検索ウィジェットに IME 経由で日本語入力するのがちょっと厄介。あとで調べてみる予定。
最後に、Nokia の携帯から google chat と Empathy とでビデオ・コール (音声もOK) をテストした例:
empathy-videocall-20120607.png
といった感じだけど、やっぱりビギナーにはいろいろ面倒だよな :|

GNOME 3.4.

3.4 の公式リリースから2ヶ月半近くたってしまったものの、なんとか 3.2.2 から 3.4.2 の環境にアップグレードできた。一応 Ubuntu (precise) 向け 3.4 系のパッケージはほぼ揃えたつもり。あとは、オリジナルの日本語メッセージはどうも馴染めないので、パッケージのインストール後に適宜更新しているものの、若干残った未訳の日本語メッセージカタログを片付けること。こちらはおいおい時間がある時に。
そういえば、最近 G+ で Linus が「フォントを小さくできねぇぜ」ってまたまた吠えていたけど、今回のいいがかりはまともというか、まぁまぁ同意できるね。今の GNOME ってフォントを小さくするといった初期設定を変更する方法にたどり着くまでが大変というか、ユーザに優しくないと思うね。GNOME 2 じゃすぐわかる方法で提供されていたし、既に 3.x 系になって2回もマイナーアップグレードを経ているのにこのあたりはいつものように (?) 整理されずに放置されたまま。そういう自分もビギナーにはうまく説明できないんだよね、User Experiences を簡潔には。ずっと使い続けているユーザならば、ある程度得られた Experiences から推測はできると思うけど。とはいえ GNOME Shell Extensions (今見たら大きく Beta と書かれていたが) は良いアイディアだ、とも言ってくれているので GNOME 3.0 を批判していた当時より、少しは使って貰えるかなと :D
で、このリリースの「売り」については有志が翻訳したリリースノートを見てもらえば分かるのだが、一見あんまりうれしい機能がない :| ように思われるかもしれないが、実は GTK+ や設定マネージャまわりなどのフレームワーク層には結構大きな手が入っていたりする。
実際、いつものように依存関係順にパッケージを作成しインストールしていき、GTK+ をバージョン 3.3.16 にアップグレードしたところで一旦 gnome-shell をリロードすると、CSS のパースエラーが大量に発生し SIGSEGV で落ちてしまい再び gnome-shell の環境に戻れなくなってしまった。テーマとかビルドするのはもっと先なので、ここはmetacity と gnome-panel を使った旧バージョンのデスクトップ環境 (fallback モード) で作業を続けることにしたのだが、この先いろいろあって作業が進まず、結局「使える状態の」 gnome-shell 環境に復帰できたのは二ヶ月も先になってしまったのだけれども。
さらに、気づいているユーザがいるのかいないのか、おそらく g-s-d を plain ビルドでインストールした人ならばわかると思うが、mutter や metacity で gconf を参照しなくなり、ついでにいろいろと独自のキー・バインディングを設定できた設定キーがごっそり削除されてしまった。おかげで、前の GNOME 3.2 まで使えていたワークスペースの移動やら Alt-Tab によるウィンドウの切り替えを利用できなくなり、かなり痛い思いをした :$。そんな時に Ubuntu から助け船が。Ubuntu でも GNOME 以外のデスクトップ (compitz など) でキー・バインディングのカスタマイズを利用できないのは痛いようで gconf の設定を継承できるようにするパッチを提供してくれたので、これを取り込んで解決した:
g34-use_gsetting_keybindings-20120605.png
画面が広いデスクトップやウィンドウを sloppy モードでアクティブにするような場合はかなり不便な「アプリケーション・メニュー」は、リリースノートに記載されているアプリの他にも gnome-games (ゲーム集) でも採用されているし、gtk3-demo プログラムからはその実装も参照できる:
g34-Tetravex_with_GtkApplicationClass-20120606.png
Nautilus からのファイル操作を Undo/Redo できるのは地味にうれしいのだけど、その適用がゴミ箱へ移動やファイル名の変更といったところまでサポートしていたら cool だったんだけど。
Evolution-3.4 のいつもの機能に特に大きな変化はないものの、インタフェースが少し整理されている。次は設定ダイアログ:
g34-Evo34-SettingDialog-20120606.png
このバージョンでも2万件のメールも問題なくさばけるし、他のカレンダとも同期できるので特に不満はないけど、他のアプリと連携するコネクタとかは使う機会がないのでよく分からないな。メールの作成は (次期は webkit をつかうことになりそうな) gtkhtml だけれど、これって Emacs キーバインディングで編集できないのかな。実装ではできるようになっているのだけれど使えたためしがないな。HTML モードでもダメだった。
Epiphany (ウェブ) は起動が軽量でパフォーマンスの足を引っぱるような拡張プラグインがないのが良いのだけれど、よく固まるねぇ。そういう場合はアプリケーション・メニューから終了できるのだが、使い方が違うような気がする。
フォントビューアやスクリーンショット、辞書といった gnome-utility は今回のリリースからそれぞれソースコードが分割された。
Yelp (ヘルプ・ビューア) は Mallard を使って視覚効果付きで目を引くのだけれど、コンテンツがあまり充実していない。本当に欲しい情報が出てこない。でも GNOME 2.x の頃よりも圧倒的に表示が高速になった:
g34-yelp_help_viewer-20120606.png
gnome-shell とデスクトップはあまり変化がないように見える。というか、拡張機能とテーマでどれがオリジナルな状態なのか分からなくなってきた :X。今回 gdm-3.4 (ログイン・マネージャ) をインストールして初めて gnome-shell の gdm モードにお目にかかれた:
g34-gnome-shell_gdm_mode-20120606.png
(とりあえず、今日はここまで。残りは、使っている gnome-shell のテーマと拡張機能の紹介など)